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公衆機器操作ブラウザ『Chameleon(カメレオン)』の開発に成功 ~withコロナ時代の新しい非接触操作方法の提案~

“Biomimetics”(バイオミメティクス)という言葉をご存知でしょうか?日本語では、“生物模倣技術”と訳します。耳慣れない言葉ですが、「サメ肌の水着」と言えばイメージができるでしょうか?
数年前にこの水着を着用した選手らが立て続けに競泳の世界記録を樹立したことは記憶に新しいところです。このように“Biomimetics”とは、生物の特徴的機能を工業製品に活かそうという取り組みを指します。

情報データ科学部 小林透教授の研究グループは、この“Biomimetics”の応用技術として、公衆機器操作ブラウザ:Chameleon(カメレオン)の開発に成功しました。Chameleonは、スマートフォン用アプリケーションで、Chameleonがインストールされたスマートフォンを公衆機器に近づけると、自動的にその機器の操作画面が表示され、公衆機器に直接触れなくても操作することができます。動物のカメレオンが、周囲の環境に合わせて自分の体の色を変えることをヒントにしたことから、Chameleonと名付けました。Chameleonを使用すれば様々な公衆機器の操作が非接触で可能となり、今までに無い新たな市場価値の創出が期待できることから、公衆機器操作ブラウザ:Chameleonとして世界に先駆けて発表することと致しました。

開発の経緯

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、不特定多数の人が利用する公衆機器の非接触操作が望まれており、これまで自動販売機や銀行ATMなど、直接機器に触れずに手や指の動きをセンサで検知して操作することができる公衆機器が実用化されています。しかし、これらの公衆機器はそれぞれ異なる専用のアプリケーションをインストールする必要があり、導入コストと不便さが普及を阻害する要因となっていました。
今後、公衆機器の非接触操作を普及させるためには、導入コストを抑え、利用者の手間を抑える必要があります。そこで、着目したのがBiomimeticsです。動物のカメレオンは、天敵から身を守るため、回りの環境に合わせて自分の体の色や模様を変えます。この特徴を模倣し、自分のスマートフォンを公衆機器に近づけるだけで、そのスマートフォンが勝手にその公衆機器の操作画面に変わるようにすれば、公衆機器の非接触操作を普及させるための要件を満足できるのではないかと考えました。これは、あたかも、スマートフォンのブラウザアプリケーションにより世界中のWebサーバの情報を閲覧できるように、Chameleonアプリケーションにより様々な公衆機器の操作が可能となります。(図1)

 


図1 公衆機器操作ブラウザ:Chameleon

デモンストレーション

1.学外訪問者が本学の訪問先(例えば、小林透教授室)をChameleonアプリにより検索して、その結果のフロアマップをデジタルサイネージに表示するシーン(図2)



図2 訪問先のフロアマップを表示する利用シーン

2.訪問先に入室するために、1と同じスマートフォンのChameleonアプリにより4桁の暗証コードを入力して、スマートロックを開錠するシーン(図3)



図3 テンキーによりスマートロックを開錠するシーン

今後の展望

現在、文部科学省から国立大学改革強化推進補助金を得て、学内学生向け証明書発行装置をすべて、Chameleonを適用したシステムに入れ替える作業を行っています。また、情報データ科学部棟と工学部棟のフロア案内を行うサイネージシステムを新規にChameleonを適用したシステムとして構築中です。これらのChameleonを適用したシステムは、学生や来訪者を新型コロナウイルス感染症から守るために今年度末までに本学キャンパス内で稼働を開始させる予定です。
また、Chameleonを公衆機器操作ブラウザとして広く普及させるために、公衆機器との通信方式の標準化に向けた検討を進める予定です。
※本研究開発の一部は、アジャスト株式会社様との共同研究、電気通信普及財団様からの寄付金、文科省様からの国立大学改革強化推進補助金により実施したものです。