2017年10月19日
温暖な海に生息する赤潮の原因となる植物プランクトンが,北海道周辺まで北上しており,さらにその量もこれまで考えていたよりも多いということが,水産学部附属練習船長崎丸の調査で明らかになりました。地球温暖化の影響で海水温が上がったことが原因と考えられます。 長崎大学と山形大学の研究チームは,2016年8〜9月にかけて,長崎県から北海道函館湾までの日本海側において,水深4 mの海水を3時間毎に採水し,計66カ所のプランクトンの組成を詳細に調べました。その結果,暖海性の鞭毛藻ディクチオカ・メサネンシスDictyocha messanensis(写真1)が秋田県以北から函館湾で多数発見されました。この植物プランクトンは,赤潮の原因となる植物プランクトンの1種で,これまでは北海道などの北の水域ではほとんど見つかっていませんでした。近年の海水温の上昇が本種の生息域が北上したことの原因ではないかと考えられ,今後も注意深い調査が必用です。 本研究の成果は2017年9月22〜24日に東京で開催された日本水産学会創立85周年記念国際シンポジウム“Fisheries Science for the Future Generations”で発表されました。また、2017年10月12日の朝日新聞にも掲載されました。 【連絡先】 筒井英人(水産・環境科学総合研究科客員研究員) e-mail: [email protected] |
写真1:長崎丸2016年444次航海の採水サンプルから見つかった赤潮原因プランクトンDictyocha messanensis., 本種は長崎で通年普通に見られる温暖種の珪質鞭毛藻であるが,本航海で津軽海峡や函館湾でも見つかった.
写真2:長崎丸で採水サンプルの処理をする筒井客員研究員
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