2016年09月30日
長崎大学医歯薬学総合研究科の西田教行教授(感染分子解析学分野)の研究チームと佐藤克也教授(運動障害リハビリテーション学分野)の研究チームは共同で、「孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病」患者の様々な臓器にプリオン活性があることを発見しました。 プリオン病は、異常型プリオン蛋白(たんぱく)が中枢神経系に蓄積することで認知症や 運動障害を引き起こす致死性の疾患です。人間が発症するプリオン病は、発症要因により、「孤発性」「遺伝性」「獲得性」に分類されますが、いずれにおいても中枢神経系に高い感染性が認められており、これまで感染性を持つのは神経系組織だけとされてきました。しかし最近になり、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病では、輸血によって感染し発症したと思われるケースが英国で報告されています。 本研究では、孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病患者の剖検時に採取した臓器(脳、脾臓、肝臓、腎臓、肺、副腎)において、1gあたり105〜107のプリオンシード活性があることが明らかとなりました。 プリオンシード活性とは正常型プリオン蛋白を異常型へと変化させる特質を「Real-time quaking induced conversion assay (RT-QuIC)法」(※1)で定量したものです。 この結果、患者の脳以外の各臓器にもプリオンは存在し、その活性は脳の1000分の1以下と低いながらも感染源になる可能性が示唆されました。今後、症例数を増やして慎重に検討していく必要がありますが、RT-QuIC法によるドナー検査は移植医療等の安全性向上に寄与しうると考えられます。 |