2016年07月29日
原爆後障害医療研究所の高村昇教授らのグループが執筆した、福島とチェルノブイリにおける甲状腺がんの発症パターンの相違についての短報が、Lancet Diabetes and Endocrinology(vol.4 August 2016)に掲載されました。 1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故では、事故当時小児だった世代における甲状腺がんの増加が認められました。2011年の福島第一原子力発電所事故後、福島県では県民健康調査において事故当時0歳から18歳だった約36万人を対象として甲状腺超音波検査を実施しており、2011年の10 月から2014年3月に行われた先行検査では、約30万人が検査をうけ、うち116名が悪性ないし悪性疑い、と判定されました。県民健康調査検討委員会ではこれまでのところ福島では放射線被ばくと甲状腺がんとの関連は考えにくいとされていますが、これについては種々議論もされているところです。 |
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さらに、チェルノブイリでは被災した小児の甲状腺の被ばく線量の中央値はベラルーシで560ミリシーベルト、ウクライナで770ミリシーベルトと推定されていますが、事故直後の福島で1080名の小児(0歳から14歳)を対象として行われた甲状腺線量測定では、99%が15ミリシーベルト以下であったことが報告されています。 今後も引き続き、福島県の将来を担う世代の健康を見守ることが大切ですが、上記のようなチェルノブイリとの発症年齢の比較や福島県内の地域における発症頻度の比較などを行うことで、因果関係について科学的に検討することが極めて重要であると考えられます。 |
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