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  • 社会連携・貢献

JICA草の根技術協力事業・シャーガス病母子感染対策向上プロジェクト (COMICH)・国際セミナー開催 (ボリビア)

 熱帯医学・グローバルヘルス研究科(TMGH)では、2024年2月1日より、JICAからの業務委託を受けて草の根技術協力事業(パートナー型)「シャーガス病母子感染対策向上プロジェクト」(Control MaternoInfantil de la enfermedad de Chagas:通称COMICH(コミチ)プロジェクト)を実施し、南米ボリビアのサンタクルス県ラグアルディア市で活動を行っております。
 顧みられない熱帯病の一つであるシャーガス病は、病原体(Trypanosoma cruzi)が吸血性のサシガメ(昆虫)により媒介される人獣共通寄生虫感染症ですが、胎盤を経由する母子感染も重大な感染経路の一つです。ボリビア国内における年間の出産数や母親のシャーガス病抗体陽性率、母子感染の割合等を考慮すると、感染の可能性がある乳児は年間約300~600人にもなると試算されます。
 今回は、3年間のプロジェクトの最初の半年の成果をレビューし、今後の方向性を探るため、2024年9月4日(水)にサンタクルス市医師会センターにおいて、カウンターパートであるサンタクルス保健局並びにガブリエル・レネ・モレノ自治大学及びサンタクルス医師会と協力して「シャーガス病母子感染対策向上に向けて」と題した国際セミナーを開催しました。
 当日は、TMGHから平山 謙二教授(プロジェクトリーダー)、相賀 裕嗣教授(情報システムアドバイザー)が登壇し、COMICHプロジェクトのベースライン調査の結果とプロジェクト戦略及びベトナムで実施された母子手帳電子化の知見をそれぞれ発表しました。その他、ボリビア国内からはラパス保健省、サンタクルス保健局、コチャバンバ県のCEADES※1、SANIT※2ボリビア国外からはISGlobal(スペイン)、DNDi(スイス)から、12名のシャーガス病の診断・治療・研究・公衆衛生に携わる重要な方々が登壇されました。さらに、グローバルヘルス技術振興財団(Global Health innovation Technology fund:GHIT)の支援によりLAMP法による診断キットの治験をすすめている日本の栄研化学やアルゼンチンのWiener LABからLAMP法による新生児診断について紹介がありました。
 本国際セミナーには、プロジェクトサイトであるラグアルディア市保健センターの医師・看護師・臨床検査技師・薬剤師など65名を含む延べ225名の医療従事者が参加しました。終了後、参加者から「もっとこのようなセミナーや研修を実施して欲しい」との声が挙がりました。
 今年の2月から始まったCOMICHプロジェクトですが、ベースライン調査・戦略策定と順調にすべり出しております。10月から医療従事者に向けての職種別研修・検査オーダーと結果を結ぶ情報システムの開発等、いよいよプロジェクトによる介入活動の実施期間に入ります。
 引き続き、関係機関と協力しながら、ラグアルディア市でシャーガス病母子感染対策が向上するように現地の方々と一緒に活動を進めて参ります。
(活動はFacebookで随時報告して参ります。)

※1Fundación Ciencia y Estudios Aplicados para el Desarrollo en Salud y Medio Ambiente(健康と環境における開発のための科学と研究財団)
※2 FUNDACIÓN SALUD NATURALEZA INTEGRAL(健康と自然を繋ぐ財団)

ご登壇される平山 謙二教授 ご登壇される相賀 裕嗣教授
シャーガス国セミナー終了時の様子 シャーガス国際セミナー参加者の様子