2023年03月27日
2023年3月8日に、長崎大学大学院工学研究科グリーンシステム創成科学専攻博士課程(5年一貫制)5年次生の佐伯 龍聖さん(日本学術振興会特別研究員DC1)が、表面技術協会第147回講演大会(2023年3月7~8日、千葉工業大学)において、「電鋳・剝離法により作製された超微結晶組織を有する固溶強化型Ni-Co合金薄板の引張強度特性」というタイトルで、第29回学術奨励講演賞を受賞しました。
佐伯さんは、次世代の航空機ジェットエンジン用タービンブレイド材料の表面処理等に利用可能なニッケル基超合金薄板を室温電解合成する手法を開発しました。本研究では、高強度かつ耐熱性と耐食性に優れるニッケルとコバルトの2元系合金(Ni-Co合金)に着目し、結晶粒微細化と合金固溶による相乗効果型の強化機構を発現させるために、密着性と剥離性を維持出来る金属チタン製のダンベル型カソード表面にNi-Co合金薄板(板厚約0.1 mm)を室温付近で迅速に電鋳・剥離可能な技術を開発しました。特に、原子配置エントロピー効果が最大となるNiとCoの合金組成が等原子比付近において、面心立方格子構造を有するγ単相組織の平均結晶子径が約20 nmレベルにまで減少することを見出しております。さらに、この電析Ni-Co合金薄板の引張強度は、結晶粒微細化と合金固溶による強化機構を介して1 GPa(ギガパスカル)を超越し、最大強度は1.757 GPaにまで到達しております。これは、通常の溶融凝固法で作製されたNi-Co合金の引張強度(約0.367 GPa)の約4.8倍の物性値となっております。
今回の発表では、研究内容およびプレゼン技術等が総合的に評価されての受賞となりました。
佐伯 龍聖さん |