2021年12月13日
長崎大学教育学部・教育学研究科では、教育実践研究の推進と教職大学院生の資質向上を目的として、「教育実践研究フォーラムin長崎大学 2021」を11月20日(土)に開催しました。学校現場の教員はもちろん、大学生・大学院生、本学大学院教育学研究科の受験を考える学生も参加する教育学研究科の中でも中核となる研究会です。
※今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、対面(学内関係者)とオンライン(学外の方)によるハイブリッド形式で開催されました。
10:10~12:20の間、2つのセッションで各7ブースに分かれ、質疑応答を含めた20分の発表が計42本行われました。
発表内容としては、教育におけるDX活用の可能性、ジェンダー平等意識や自己肯定感を育む教育活動、科目別の指導法の提案から、学級運営の在り方まで、幅広いテーマがあり、それぞれの研究成果や考察が発表されました。
各発表の終盤には、大学所属の教員同士の質疑応答はもちろん、大学生が積極的に質問する場面も見られ、同じ教員として、また、教員を志す者の視点で繰り広げられる議論は熱く、力強いものでした。
13:30からは基調講演とパネルディスカッションが行われました。
基調講演者は、北海道教育大学教育学部釧路校 准教授 宮前 耕史 氏です。「地域をともにつくる」学校の先生になる、という北海道教育大学釧路校の取り組みについて紹介されました。
パネルディスカッションでは、本学教育学研究科の長谷川哲朗教授をコーディネーターとして、パネリストに基調講演者の宮前耕史准教授と長崎県教育庁義務教育課の作元浩二課長補佐、本学部から内野成美教授、附属小学校から松尾勇哉教諭、附属中学校から入江康介教諭を迎え、「すべての子どもたちへの学びの保障と豊かな学びへの誘い」というテーマについて、まずぞれぞれから発表が行われました。
長崎県教育庁義務教育課課長補佐 作元 浩二 氏 |
長崎大学教育学部附属小学校 教諭 松尾 勇哉 |
長崎大学教育学部附属中学校 教諭 入江 康介 |
長崎大学大学院教育学研究科 教授 内野 成美 |
パネリストの発表後は、パネリスト同士での議論や聴講者からの質問の時間が取られました。
特に、コロナ禍でのオンライン授業への移行時の苦労や実際にオンライン授業を経ての現場ならではの意見。一人一台端末、GIGAスクール構想に対する疑問、課題について、などが目立ちました。
最後に、コーディネーターの長谷川哲朗教授から「学びの保障」「豊かな学び」という二つのキーワードについて、それぞれ3つの視点が得られたとお話がありましたのでご紹介します。
「学びの保障」に関する3つの視点
①生徒自らが自身の学びを保障する力を付けられるような教育を
②広い捉え方で「個別最適」な学びを実現していく
③子どもの学びは大人の社会が土壌であることの再認識
「豊かな学び」に関する3つの視点
①授業を構成する要素を問い直すことによって質を向上させる
②探究的、総合的な学習の時間の充実を図るためにできることは何か
③「地域をともにつくる学校」というこれからの「学校像」の在り方
今回は、その他にも様々な視点からの提案や意見が出され、今後の学校教育に活かされる有意義なシンポジウムとなりました。
長崎大学には附属の幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校があります。このフォーラムは、それらぞれの学校現場の教員たちが一堂に会することができ、様々な意見を交換できる場として重要な意味を持っています。また、教職を志す院生や大学生にとっても現場を知る教員たちと直接意見を交わす機会は、大変貴重であり意義のある時間となったのではないでしょうか。
教育実践研究フォーラムは平成25年度から開催されており、今回で8回目になりました。
来年度も実施を予定しております。教育に関心のある方の参加を是非、お待ちしております。
教育学研究科HP:ニュースレター