2021年07月12日
薬学部の麓伸太郎准教授(薬剤学分野)が、日本薬剤学会第36年会(2021年5月13日~15日、オンライン開催)において「旭化成創剤開発技術賞」を受賞しました。
https://www.apstj.jp/awards/asahikasei-technol/
この賞は、国際的な製剤の品質に関する考え方の変貌に応える製剤・創剤開発の基礎及び応用に関するハード及びソフトの優れた研究を対象とし、国際的に高く評価され得る医薬品製剤の開発に必要な製剤化の新しい科学と技術の発展に顕著な功績を挙げた者を表彰するものです。
受賞対象となった研究は「組織透明化・多色3Dイメージング技術と複数の薬物・タンパク質・遺伝子を搭載可能なナノ粒子調製法の開発」です。麓准教授は、薬物送達システム(ドラッグデリバリーシステム、DDS)研究において開発と評価を表裏一体で推進する必要があると考えています。本研究では、脂質構造を保持しつつpH調整が可能な新規組織透明化試薬Seebestを開発し、リポソームなどのDDS製剤の評価法として有益であることを示しました(文献1)。さらに、脂質を用いたナノDDSを基盤として複数の薬物を共送達する技術を開発し、性質の異なる複数の薬物、タンパク質、あるいは遺伝子の体内動態を一致させることで、相乗効果を得ることや遺伝子導入効率を向上させることが可能なことを実証しました(文献2、3、4)。Seebestでは多色深部観察が可能であるため、複数の薬物・タンパク質・遺伝子の組織内空間分布を同時に可視化できることが期待されます。今回の研究成果は、がんなどの難治性疾患に対する治療法開発を加速することが期待され、高い評価を得ました。
麓 准教授 |