2016年04月22日
長崎大学では4月20日、熱帯医学研究所の鈴木基助教など4人を熊本地震の被災地に派遣し、現地の健康状況についての初期調査を行いました。長崎大学では、この結果などを参考にしつつ、今後の支援方針をまとめていきます。ご協力いただいた避難所運営に携わっていらっしゃる方々、役場関係者、ボランティアの方々に感謝申し上げます。
鈴木助教による報告(4月20日時点の代表的な避難所10カ所の調査に基づく迅速評価)
●4月20日時点の迅速評価結果
<医療について>
・災害派遣医療チーム(DMAT)や日本赤十字社、地元の医療機関等により、緊急医療援助は確保されている
・DMATと日本赤十字社により、全避難所のリストが作成、更新されている一方で、被害の大きかった地域と市街地の間に、医療支援の空白が存在する
・高齢避難者の日常生活動作(ADL)の低下と慢性疾患悪化のリスクは高い
・感染症拡大のリスクは、日常生活と同等で高くない
・多数の車中泊者の健康問題が見えない(深部静脈血栓症以外)
<避難所環境>
・訪問した範囲内では、ライフラインや物資については、最低限の基準を満たしている
・家屋被害の程度により、地域間、避難所内で被災者が抱える問題は一様でない
・避難所に集まるのは夜間のみ、日中は小児と高齢者が残っている
・雑魚寝でプライベートな空間がない
・車中泊専用の巨大避難所がある
<亜急性期(発災1週間以降)の課題>
・車中泊の解消は急務
・避難者の減少に伴う避難所環境の評価と改善
・亜急性期の医療支援ギャップを埋めること
・自宅避難者の発掘