2015年03月17日
国立大学法人長崎大学(以下、「長崎大学」)と株式会社東芝(以下、「東芝」)は、長崎大学熱帯医学研究所が開発したエボラ出血熱検査試薬(プライマー)の実用化に向け、実検体を用いた実用性評価を今月17日から西アフリカのギニアにて開始します。
長崎大学と東芝は、東芝が2009年に実用化した生物剤の同時検知システムにおける成果(注1)を基に、昨年夏からエボラ出血熱検査試薬に関する研究を行っており、先般、昨年から西アフリカで流行しているエボラウイルス株の検査試薬を長崎大学熱帯医学研究所が開発いたしました。
現在、現地で使用されている多くの検査装置は、血液や尿などの検体中に含まれるエボラウイルスの検査判定に1時間以上かかっていますが、今回開発した検査試薬を利用した検査装置で擬似検体の検査判定を実施したところ、検査時間を約20分程度と大幅に短縮できることが確認できました。(注2)
こうした成果を踏まえ、長崎大学と東芝は3月17日から、ギニアの首都コナクリにあるドンカ国立病院の協力を得て、実際のエボラウイルス感染者の検体を用いた実用性評価を行うことといたしました。この実用性評価は、ドンカ国立病院の協力を得て長崎大学熱帯医学研究所の安田二朗教授と黒崎陽平助教があたり、既存の検査法と比較した有効性の確認を行います。
なお、この実用性評価研究は、平成26年厚生労働科学研究委託事業「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(研究統括者 聖路加国際大学 竹内勤特任教授)」の分担研究として実施します。
東芝は今回の実用性評価を踏まえ、この試薬と検査装置で構成された迅速検査システムを将来的には空港や港湾施設などへ提供することを目指し、国内の防疫力強化、安心・安全な社会づくりに貢献したいと考えています。
(注1):東芝は2005年〜2008年に、(独)科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業として、警察庁科学警察研究所、帯広畜産大学と共同で「全自動モバイル型生物剤センシングシステムの開発」(研究代表者:安田二朗 現長崎大学教授)を行い、2009年に「電流検出方式」(電気化学的に活性な核酸挿入剤を用いた東芝オリジナルのDNA検出技術)のDNAチップを活用したモバイル型全自動生物剤検知システムを製品化、実践配備した実績がある。
(注2):実際の検査では検体からRNAを抽出した後に検査、判定を行う。RNA抽出の時間を入れると、検体の入手から判定までの時間は30分〜40分程度。現在広く使われている装置では、1時間30分程度かかっている。
【お問い合わせ先】
国立大学法人 長崎大学
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