HOME > 大学案内 > 東日本大震災・支援活動 > 研究活動 > 福島県川内村の地元食材に含まれる放射性セシウムの網羅的解析
東日本大震災・支援活動
2016年06月23日
原爆後障害医療研究所の折田真紀子助教のグループが行った「Concentrations of Radiocesium in Local Foods Collected in Kawauchi Village after the Accident at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Station(福島第一原子力発電所事故後の福島県川内村における地元食材の放射性セシウム濃度)」と題する論文が、6月23日付のScientific Reports誌に掲載されました。 2011年3月の事故後、福島ではいち早く暫定基準値(現在は基準値)が設定され、これを上回る食品については流通制限を行って市場に出回らないようにす ることで、住民の内部被ばく低減化が図られてきました。一方で、住民が自分で栽培したり、採取したりする食品については十分な評価が行われてきませんでし た。 今回の調査では、長崎大学が復興推進拠点を設置している福島県川内村において収集された7668サンプル(食材)における放射性セシウム濃度を測定し、そ の結果、野菜では4,080サンプル中5サンプル(0.1%)、果物では647サンプル中8サンプル(1.2%)と基準値を上回る食材が少なかったのに対 して、きのこおよび山菜では1,986サンプル中652サンプル(32.8%)と比較的高い頻度で基準値を上回る放射性セシウムが検出されました。 一方で、これらの食材を一年間、平均的な摂取量を食べたとしても内部被ばく線量は20マイクロシーベルトから40マイクロシーベルトと、胸部レントゲン写真一枚分以下の線量であることもあわせてわかりました。 現在復興が進む福島においては、今後これらの知見をもとにした、より住民の視点に密着したリスクコミュニケーションの展開が求められています。 |
「食品別放射性セシウム検出率」 |
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