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東日本大震災・支援活動
2013年11月25日
長崎大学病院は11月25日、福島県相双地域医療保健関係者4名を招き、長崎大学病院での嚥下ケアの取り組みを紹介した。
長崎大学病院は2011年の東日本大震災発生時、DMATや医師の派遣で被災者の救援にあたるのと並行して、大学病院の歯科医師や歯科衛生士を派遣し口腔内の問題や嚥下ケアについて対応した。相双保健福祉事務所の玉川歯科衛生士は震災当時を振り返り、「タイムリーに貴重な人材を派遣してもらい、嚥下ケアの知識を学ぶことができた」と話す。
こうしたなか、継続的な支援が必要と判断した相双保健福祉事務所から協力要請を受け、長崎大学病院は12年4月から2年計画で、被災者支援にあたっている医療介護職向けの嚥下ケア事業を開始。嚥下ケア専門医師や看護師、管理栄養士などを派遣し、福島県の医療介護施設の3分の1にあたる39施設の代表者を一堂に集めた講演会や実技指導を行うなど、嚥下ケアの普及に努めてきた。
今回の事業はその一環として、長崎大学病院の嚥下ケアのノウハウを肌で感じてもらおうと企画したもの。
東日本大震災後、長期化する避難生活で問題になっているのが全身の不調に加え、嚥下障害といわれる飲み込み機能の低下。福島県の相双地域では、避難者が少しずつ戻ってきているものの、超高齢化地域になっている。こうしたなか、高齢者が特に注意しなければならない問題の一つが嚥下障害。
今回の長崎大学病院訪問では、食べ物が気管に入っていないかどうかをレントゲンで確認する嚥下造影検査室の見学のほか、本院で実際に患者に提供している栄養補給食やトレーニングのための嚥下食の試食など、関係者は熱心に見学していた。
長崎大学病院は今後、多くの支援者に嚥下ケアの機会に触れてもらうためにハンドブックの普及に努めるほか、実践講習会や研修会などのアンケートをまとめ、14年度以降の活動に生かしていく方針。河野病院長は「まだまだ除染などの問題も残っており大変だと思うが、今後もできる限りの支援を続けていきたいと」と話した。