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東日本大震災・支援活動

福島未来創造支援研究センター

(28)伊達のあんぽ柿

2019年02月15日

   渋柿にはその渋抜きの方法がいくつか知られています。中でもつるし柿は、ここ福島でも冬の風物詩ともなっています。単純に干した渋柿は、時間の経過と共に乾燥が進み、黒く硬く小ぶりなのが特徴ですが、一方、あんぽ柿は硫黄で燻製にして乾燥させるため、オレンジ色で大きく柔らかく、甘さのある食感とその美味しさが特徴です。あんぽ柿の発祥は、福島県伊達市梁川町五十沢(いさざわ)地区で、大正時代にアメリカから輸入された硫黄燻製技術を応用して開発され、伊達や国見、桑折などの農家では、地域の特産品として冬場の安定収入源となっていました。
   しかし、福島原発事故以降、福島県産の農作物が放射能汚染の被害に苦しむことになり、大変な年月を過ごすことになりました。時間の経過と共に、今では流通制限の基準値以下の安全なお米や果物、そしてあんぽ柿も一般市場に出回っていますが、地元では風評被害の払拭に向けた種々の努力が試みられています。
   福島市や伊達市がある県北浜通り地域は、阿武隈川が仙台方面へと流れる南から北に長く続く広大な盆地で、さくらんぼ、桃や梨、そしてりんごなどの果物の生産が有名です。冬のあんぽ柿も有名で、保存カロリー食として、また最近の研究ではビタミンBの含有量が多いことが報告され、福島復興と再興の大きな力となることが期待されています。