2024年09月25日
長崎大学教育学部は、独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携し、インドネシアから行政官らを招き、日本の学校における食育・学校給食に関する研修を実施しました。この研修の一環として9 月 9 日(月)には、実際の学校給食の体験をするため、長崎大学教育学部附属小学校をインドネシアの行政官らが訪れました。
インドネシアでは、子どもの栄養不良と小児肥満の増加が課題となっており、本年 8 月には国家栄養庁が新設され、同国では今後無料の学校給食が導入される予定になっています。長崎大学はプラネタリーヘルスの実現(地球とそこに存在する生態系全体が健康であること)を大学のビジョンに掲げており、長崎大学教育学部附属小学校では、インドネシアの子どもたちの健康への一助となるべく、学校給食の運営・実施の方法と食育についての研修を行いました。
本研修の責任者、長崎大学教育学部の峰松教授は「長崎大学教育学部附属小学校では、学校給食を食育の場のひとつに位置付け、栄養価だけでなく、地域で作られた伝統的な食材も積極的に用いながら地産地消も学べる機会としています。給食の食材がどのように地域で育てられ、どのような人たちに支えられて自分たちのもとへ届くのか。それらを総合的に学べる本学の学校給食は、人と地球の健康に貢献するプラネタリーヘルスマインドの育成に繋がると考えています。研修員の皆さんには、附属小学校での学びを参考にして、インドネシアに根付く学校給食のシステムを作り上げてほしいですね。」と本研修への期待を述べます。
研修は、校長の古野先生による学校経営における食育の位置づけと栄養教諭の一瀬先生による学校給食の作成過程に関する講義から始まりました。続いて、調理室や配送の見学が行われ、午後には実際の給食準備作業を見学。児童が机上に給食を並べ終えると、一瀬先生による10分程度の食育授業が始まりました。授業では、今日の給食には、不老長寿や繁栄を願う重陽の節句(9月9日)にちなんで、「栗ご飯」や「なすの揚げびたし」等、季節の食材を使った料理が並んでいるとの説明がありました。また、味噌汁には以前から授業でお世話になっている竹田かたつむり農園さんで採れた2種類のじゃがいもが使われていると明かされると、小学生からは嬉しそうなざわめきが起こりました。
その後、行政官らは小学生と英語でコミュニケーションを取りあいながら、楽しい給食の時間を過ごし、片付けにも参加しました。
給食を自ら準備する生徒たち |
栄養教諭の一瀬先生による食育の講義。今回は重陽の節句について説明がなされました。 |
重陽の節句にちなんで、献立には栗ご飯、なすの揚げびたしが並びました。 味噌汁には翌日訪問した竹田かたつむり農園さんのじゃがいもが入っています。 |
実際に日本の学校給食を体験した、インドネシア 国家開発企画庁 大臣顧問 プンカス氏は「実際に日本の子どもたちと学校給食を体験して、自分たちで給食の準備をして、片付ける、規律のある姿が素晴らしいと思いました。また、食育の授業は、農家さんへの感謝の気持ちの醸成、食に対するリスペクトを育む重要な教育だと感じました。」と語り、インドネシアの学校給食実現に向けての意欲をみせていました。