HOME > NEWS > 詳細

News

ここから本文です。

  • 教育・研究

小・中学校の教員を対象に「理科指導の工夫・改善研修講座」を開催

 2024年8月20日(火)、長崎大学において小・中学校及び義務教育学校の教員を対象とした「理科指導の工夫・改善研修講座」が開催されました。
 この研修講座は、長崎大学と長崎県教育委員会の連携・協力のもと「未来の科学者発掘プロジェクト」の一環として行われているもので、理数教育の推進充実を目的としています。今回はコア・サイエンス・ティーチャー(CST)やサイエンス・ティーチャー(SC)と共に長崎大学の教員が、理科を担当する教員の指導力向上を目指した講座を開講し、県内全域から24人の小・中学校の教員が参加しました。

 講座は午前と午後の2部制で行われ、午後の講座は全て長崎大学総合生産科学域マイクロデバイス総合研究センター(CAMRIS)の教員が講師を、技術支援部の技術職員が実験指導を務めました。
 講義のひとつ、「半導体がつなぐ物理と情報の世界~匂いセンサを利用したIoT実験」は、CAMRIS副センター長を務める情報データ科学部学部長の柴田裕一郎教授とCAMRIS幹事委員を務める総合生産研究科の石塚洋一教授が担当。まずデジタルデータの概念について座学で学んだ後、参加者は2人一組になって実験に取り組みました。具体的には、アルコールのガス濃度に反応して電圧が変わる様子を、半導体ガスセンサを用いて確認する実験や、温度センサで測定したデジタルデータを他の場所へ送信し、その場で正しく可視化できる状態に再生するといった実験を体験しました。
 また、CAMRIS副センター長を務める兵頭健生工学部教授の講座では、ガスセンサが動く仕組みや家電製品(ガス漏れ警報器・口臭チェッカーなど)への応用、ヘルスケアや疾病診断などにガスセンサが応用される未来について講義があり、実験で実際に利用した半導体ガスセンサの走査型電子顕微鏡による表面観察やエネルギー分散X線分光法による元素分析といった大学ならではの材料評価について体験しました。

 参加者からは「理科室にもあるセンサの仕組みを理解でき、授業や実験の際のトピックとして、生徒が興味を持ってもらいやすい話ができるのでは、と思った」など研修会を評価する感想が聞かれ、「もっと実験を体験したかった」という声も寄せられました。

 石塚洋一教授は「理数系の研究と研究者への期待は社会全体で高まっています。その入り口となる小中学校の授業で、理科へ興味関心を持ってくれる児童、生徒さんが増えてくれればと願っています。そのためにはまず教える先生自身が子供たちの“なぜ?”に応えることができることが大切で、今回の講座はそのことを強く意識して構成しました」とコメント。参加した先生方も新しい機器を使った実験を通して、知識のアップデートに取り組む、中身の濃い充実した研修講座となりました。